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METライブ「仮面舞踏会」・・落下するイカロス

 「仮面舞踏会」の実演は3回観ました。1回目は20数年前の藤原公演。2回目はパルマ。ゲルギエフ指揮のボストン版でした。このオペラは実際にあったスウェーデン国王の暗殺事件を題材にしていて、ヴェルディが作曲したころは検閲に触れるので、ボストンに舞台を移していたそうですが、最近はこの版はあまり上演されず、3回目のチューリヒ公演もスウェーデン版でした。 

 METのライブビューイングはあまり観ていません。METがなんとなく好きになれず、私にとっては神のような存在だったフローレスが出演していた「清教徒」「セビリアの理髪師」「オリイ伯爵」に足を運んだだけでしたが、渋谷でも観られると知って、行ってみました。ずっと心が疲れて、ヴェルディやプッチーニは重すぎ。最近は耳鳴りが激しくて、イヤホンも苦痛です。あれやこれやでオペラともすっかりご無沙汰でした。行ってみようかなと思ったのは、マルセロ・アルバレスを聴いてみたかったから。とくにファンというわけではありませんが、いまヴェルディを聴くなら、このテノールしか考えられません。チューリッヒで同じ役を演じたベチャワもなかなかのものでしたが。

 まだ解けていない雪道を恐る恐る歩き、渋谷の映画館に着いたときは、場内は真っ暗。手探りで席に座るとすぐ始まりました。幕に描かれているのは「落下するイカロス」。最も忠実な友の妻を愛し、自らを死に追いやるかのようなグスターヴォ自身のようです。ある場面では天井画になり、最後は画から抜け出したイカロスが上からぶらさがってきます。もとになった画はどなたの作品で、どこにあるのか気になります。

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 映画とはいえ、久しぶりのオペラだから何が何でも楽しむぞ、と意気込んでいたんですが、序曲から登場するオスカルの鼻下と顎の髭と踊りが気持ちが悪い。劇場ではここまではっきり見えないのでしょうが。歌唱は文句はないので、なるべく見ないようにしていました。

 政治には関心がなく、どこか人のいい国王をマルセロ・アルバレスは好演していました。3幕1場以外は出ずっぱりなのに、凄いスタミナです。妻を奪われたと思って、王を暗殺するレナート役のホヴォロトフスキーがデヴューしたころは非常に注目して、火災に遭う前のフェニーチェ劇場でリサイタルを聴いたことがあります。だんだん熱は冷めましたが、アメリカでは凄い人気です。↓ レナートと国王 20世紀に置き換えられています。

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 3幕1場↓が印象的でした。最初は右の壁に国王の大きな肖像が掲げてあって、レナートが床にぶん投げるんですけど、いくら崇拝する人物だからといって、自室に写真を掲げて日夜眺めるでしょうか。なにやら暗示的です。

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 3幕1場は狭い空間でしたが、2場は鏡を多用して、大きく広がります。上部にイカロス。瀕死の王にすべて許すと言われて、レナート以下、王を憎み、暗殺を企てていた人たちがコロッと改心するのは、なんともオペラチックです。

 幕間にインタビューがあって、指揮者や演出家、主要キャストが語りますが、1幕2場で登場する占い師が実在の人物だったとは知りませんでした。二人の男性に愛されるアメーリア役のラドヴァノフスキーはロシア人かと思ったら、アメリカ人だそうです。国王はアルゼンチン人、レナートはロシア人、オスカルは韓国人、美しい音楽を聴かせてくださった指揮者のルイージはイタリア人とインターナショナルです。これはMETに限ったことではありませんけど。

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演奏はこれまで聴いたなかでいちばん満足できましたし、演出もほぼ納得できました。とくにアメーリアは最初に観た藤原公演のときはサッチャー夫人みたいな歌手だったし、チューリッヒの公演も主演クラスでは聴きおとりがして残念だったのに比べて、まあ、いいかな。演出は、ある方のブログによると、これまでのMETの演出を真似て、からかっているのだとか。そうなると、日参していない者には理解不能です。

 慢性的な体調不良をかこちながら、行って、最後まで見られて、まだ余力があったことだけで喜んでいる、極めて低レベルの鑑賞でした。

 帰りに渋谷駅前からハチ公バスに乗って、松涛美術館に寄りました。シャガールの作品をもとにイヴェット・コキール=プランスが製作したタピスリーがメインで、シャガールのリトグラフや油絵もありました。↓の画像では判然としませんが、410cm×610cmの大作「平和」の左上に描かれているのは赤い翼のイカロスではないでしょうか。

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音楽」カテゴリの記事

コメント

kikukoさま
ご体調があまりすぐれないと、初めて知りました。でも一月は七十代主婦はみんなもそうですよ。
久しぶりのオペラ生き字引さまのご感想、うなりながら、拝読。わたしもいまオペラの長丁場、行くのは勇気が要ります。いい写真をいっぱい入れてくださって、もう、行った気分になりました。ずいぶん現代的ですね。メトライブの魅力は休憩の楽屋インタビューです。
指揮がルイージだったとは、ファビオ・ルイージですよね。お気に入り随一のひとです。行ってみたくなりましたが、腰が上がるまでやはりちょっと、の状態。
楽しく読ませていただきました。感謝です。

cannellaさま

 はい、ファヴィオ・ルイージです。METの首席指揮者になられたそうですね。「仮面舞踏会」は昨日で終わってしまいました。次はやはりルイージの指揮で「アイーダ」が1月19日から25日まで、ベルリオーズの「トロイアの人々」が1月26日から2月1日まで。「トロイアの人々」に行ってみたいのですが、5時間30分という上映時間にたじろいでいます。渋谷シネパレスでやっていることに気づかず、新宿まで行っていました。

kikukoさま

ブログがあるとは気がつきませんでした。メトのライヴビューイング、渋谷でも見られるのですね。住んでいるのは渋谷区ですが、新宿のほうが近いのでピカデリーで見ています。
仮面舞踏会はだいぶ前にドミンゴが来日したときしか生では見ていないのですが、とても好きなオペラです。MIXIにも書きましたのでご存じかもしれませんが。現代風にしたオペラはどうも好きになれません。オスカルは歌はよかったのにあんな恰好をさせられてかわいそうでしたね。
海外で見た経験はわずかしかないのでライヴビューイングがたよりです。
パリのオペラ座も同じようなことを始めたようですが、まだどこで見られるのかわかりません。
もし耳寄りなニュースをご存知でしたら教えてくださいませ。
私も夜出かけるのは極力避けたいと思うようになりました。
めまいが治らないので(回転性ではなくふらふらするのですが)夜はちょっと不安になったので。
幕間の紹介でマリア・ストルアルダの練習をみて見に行きたかったのですが、膝をいためてあきらめました。
展覧会も上野だと考えてしまいます。
どうぞお大事になさっていろいろ教えてくださいませ。

tinaさま

カットの予約が入っているので、とりあえずパリのライブの情報を貼っておきます。またのちほど。

http://www.opera-yokoso.com/program/index.html

tinaさま

 恥をかいているようなブログなので、もうやめたいと思いながらこっそりUPしておりました。お目にとまって恐縮です。何もかもやめてしまうと、ますます脳が老化しそうで、うろうろと続けています。

 パリ・オペラ座のライブビューイングはMETほどの頻度ではありませんが、今年は4月の「カルメン」、6月の「ホフマン物語」、8月の「ラ・ジョコンダ」などを観たい候補に入れています。うまく公式サイトが貼れていないようですね。パリ・オペラ座 ライブビューイングで検索すると、簡単に出てきます。bunkamura、みゆき座、六本木ヒルズの3か所で上映するようです。

 新国立劇場もご無沙汰ばかり。行きたいと思う演目やキャストが減ってきました。来日公演もボローニャショックがトラウマになって、高額のチケットを買う気になれず、ガラガラで身体を動かしても周囲に迷惑をかけないライブビューイングに足が向きます。
 ドミンゴがオペラで来日したころは関西に住んでいたので、機会を得ませんでした。

 METは「ジュリオ・チェーザレ」を心待ちにしています。ボローニャまで行って、マリア・バーヨとバルチェッローナを聴いたのは遠い昔になってしまいました。

kikukoさま

パリオペラ座の件早速教えてくださって有難うございました。
やっぱりフランスものが多いのですね。
新国はできてすぐに会員になったのですが、みたいものがあまりになさ過ぎて一回だけで脱会してしまいました。ちょっと気が早かったかなとおもっていますが。
藤原で仮面舞踏会をやったようですね。
ジュリオ・チェーザレは椿姫のデセイにちょっとがっかりしたのでどうしようかなと思っています。

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