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今年の読み納め

 幼いころは、親の目を盗んで本を読み漁ったものですが、めっきり読書量が減りました。一つは視力の衰え、もう一つは絶好の読書タイムに充てていたプールの往復で利用するバスに酔うようになってしまったことが大きな要因です。要するに老化の現れなのでしょう。

 一人暮らしのいいとろろは、夜中にテレビをつけても叱られないこと。眠れなくて、たまたまつけたテレビに佐藤愛子さんが出演されていて、最近、『90歳。何がめでたい』という本を出版されたことや、高齢者の先達として仰ぎたくなるようないくつかのお言葉を聴きました。これまで全く関心がなかった作家さんですが、読んでみようと図書館に予約を入れたら、なんと99番目。しかたがないので、最新作にして、最後の小説とご本人がおっしゃる『晩鐘』を借りてきました。

 31歳のときに結婚し、15年たって騙し討ちのように離婚した男性が亡くなったという知らせを受けたところから始まって、なんとも理解不能な物語が展開し、ただただ驚いてしまいました。作中では麦彦と呼ばれる男性は、田園調布の広壮な邸宅で育ちますが、幼いころに罹った小児麻痺で片足を引きずっています。その生い立ちが人格形成に影響を及ばしたのかどうか、私には判断できません。同じような境遇の人が、同じことをするとは思えないからです。

 すでに他の作品で語られているように、麦彦は事業に失敗して、多額の負債を負い、作中では杉と名乗る作者自身を始め周囲の人にたいへんな迷惑をかけながら、悪びれることなく80歳まで生きました。凡人の私など、読んでいるうちに腹が立ってきますが、麦彦は尊敬されたり、愛されたり、全く不思議です。債権者から逃れるための偽装離婚だと言って、届を出させた直後に入籍した二度目の妻と麦彦と杉の間に生まれた娘に看取られて亡くなるのですから、やりたい放題をした人にしては、恵まれた最期です。

 これほどのスケールではありませんが、似たところのある人を知っています。作者が「明るい詐欺師」と名付けた麦彦のように、借金癖、虚言癖の塊のようでありながら、なぜか好かれる人でした。反省という言葉を置き忘れた人が世の中にはいるので、こういう人に出会ったら、全速力で逃げたほうが身のためです。

 テレビに出てきた佐藤愛子さんは、とても90歳を過ぎた方とは思えないほど、魅力的でした。娘さん夫婦やお孫さんと二世帯住宅で暮らしていらっしゃるようで、高齢者になって得をしたのは、やりたくないことはやらないで済むことだと言われています。私も見習いたいと思いますが、いまのところ、やりたくないことも少しはやっています。

 ただ、父親のことを洗いざらい書かれた娘さんはどういうお気持ちか、気になります。次に読んでみようかと思っている『血脈』には父の佐藤紅緑や異母兄のサトウハチローが登場するそうですから、作家の家族は覚悟ができているのかもしれません。爽やかな読後感とは縁遠いという予感がするので、新年そうそう読む本ではないと思います。

  たまたまですが、今年の映画の見納めとなった『この世界の片隅に』の冒頭で流れる「悲しくてやりきれない」の作詞をされたのがサトウハチローでした。ほとんど見たことのないアニメ映画ですが、40分前に行って、残席2の絶賛上映中。若い観客が目立ちました。辛うじて戦争体験のある者からすると、現実はもっともっと荒んでいたと言いたくなりますが、終わったあと、しばらく立ち上がれなかったという若い方の声は貴重だと思います。だいいち、あまりにもリアルな映画を作ったら、、満席続きにはならないでしょう。

80歳の師走

 おせちを作り続けて50有余年、80歳になったらやめて、のんびり寝正月と思っていたのですが、まだやる気になっています。能力を少し上回るぐらいのことをたまにはやらないと、下降線を一直線でたどるのでは、という恐怖もあります。

 若かりし頃は仕事優先で、除夜の鐘を聴きながら掃除をしていましたが、いまは時間はたっぷりあるし、お掃除の一部はプロの手も借りて、少しずつ準備を進める毎日です。重い荷物を持って歩くのはドクターストップがかかっているので、丹波の黒豆、栗の甘露煮、塩蔵数の子など、日持ちのするものから買い集めて、暖房の入らない部屋に置いています。ネットスーパーや通販も活用し、根室の海産物や萩の蒲鉾、山形の日本酒などの手配も済ませました。今年は、遠祖の地、山形に行きましたし、ノーベル賞を受賞された大隅博士が手土産にされたという出羽桜・一路で盛り上がる予定です。某スーパーで獺祭をおひとり様一本限定で売っていたので、明日、買いに行きます。ワインは5本では足りないかもしれません。

 おせちの基本は、結婚したときからお世話になっている婦人之友社の「家庭の客料理」のレシピ。大学生の孫が田作り、高校生の孫がお煮しめの捩じり梅・松葉牛蒡・亀甲椎茸などの係を務めるのもいつのまにか慣わしとなっています。 

 よせばいいのに、脳トレのような説明図と格闘してランドリーラックを組み立てた後遺症で、さては圧迫骨折と思うほど背中が痛かったのもどうやら治まって、やれやれです。80歳まで生きているなんて思ってもいませんでしたが、それなりの楽しみを見つけられるのが幸せです。今年は臼杵や杵築、近江・越前、瀬戸内、十和田・奥入瀬、山形など、短いけれども実りのある旅ができました。来年も、暖かくなったら、あそこも、ここも、と密かにプランを温めています。

 少し気が早すぎますが、皆様、どうか良いお年をお迎えくださいませ。

 

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