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映画「ヒトラーへの285枚の葉書」@下高井戸シネマが

 年齢のせいにはしたくないのですが、身体能力の劣化は覆うべくもなく、電車で席を譲ってくださる親切な方に出会うと、ああ、見た目はそういうふうなんだと内心がっかりします。家にこもっていても誰からも叱られないし、そのほうが楽なので、何か口実をつけて出かけないと、心身が弱って、かえって人に迷惑をかけるようになりそうです。

 予約したり、チケットを買ったりすると、よほどのことがないかぎりキャンセルはできない性格ですが、映画や日帰りの旅などは、簡単にやめてしまいます。そういう日々のなかで、怠け心を覚醒させてくださるものの一つに、優れたブログがあります。暑いの、寒いのと敬遠していた映画に行く気になったのも、そのおかげです。

 昨日、久しぶりに下高井戸シネマに行きました。

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 重くて辛い映画です。ベルリンでつつましい暮らしをしている木工職人が、1940年に一人息子の戦死の報を受けます。当時の日本は日中戦争のさなかとはいえ、まだそれほど緊迫した情勢ではありませんでしたが、ドイツでは町中にハーケンクロイツがあふれ、人々はフランスに勝った、次にイギリスを負かせて我々は金持ちになるんだと熱狂しています。妻に息子が死んだのは、総統とあなたのせいだとなじられますから、夫もナチスの支持者だったのでしょう。

 夫は絵葉書に反戦のメッセージを書き綴り、アパートの階段に密かに置き始めます。でも、それは人々の共感を得ることはできません。285枚の葉書のうち267枚は見つけた市民がゲシュタポに届けて、捜査官の包囲網は狭まってきます。職人夫妻と同じアパートに住む人々の姿も描かれ、ユダヤ人女性への迫害と死、彼女を匿おうとする判事(判事の部屋にあった目隠しをして秤をもった女神像は実家にもありました)、卑しい密告者など、圧倒的な悪意とささやかな善意が交錯します。主婦たちが国防婦人会のような組織をつくって、軍需工場に働きに行かない女性を糾弾して回る姿は、戦時中のご近所さんを思い出させてくれました。

 ベルリンが爆撃を受け、瓦礫の街と化した1943年に夫妻は逮捕され、処刑されます。当時、ギロチンがあったのはショックでした。最後は、ゲシュタポの優秀な捜査官が267枚の葉書を窓から撒き散らし、人々が足を止めて葉書を手にとるなか、ピストル自殺を遂げるというドラマになっていますが、こうでないと映画にはならないのでしょうね。

 この物語は、ゲシュタポの文書記録をもとにして書かれた小説『ベルリンに一人死す(Alone in Berlin)』が映画化されたものです。ものが言えない社会、政権批判が許されない社会が再現されないように強く願いながら見ていましたが、わが国ではこういう抵抗すら起きなかったし、こういう映画が作られることもないのが残念です。人々が嬉々としてナチスの小旗を振り、挨拶は「ハイルヒトラー」と叫ぶという状況の芽ができそうなのが杞憂ならいいのですが。気に要らない意見に対して、反日、国賊、非国民と罵る人がSNSにあふれています。皇后さままでノーベル平和賞に言及されたことで、反日呼ばわりする人が出て、開いた口がふさがりません。某作家は、沖縄で基地反対の運動をしている人のテントの中に漢和辞典があった、中国人だろうと言い出しました。漢和辞典を使ったことがあれば出てこない言葉です。精神衛生上よくないので、なるべく見ないことにしていますが、フォローしている方が憤慨してリツイートされるので、防ぎようがありません。

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映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

いい映画をご覧になられましたね。近くのジャックアンドベティの上映作品は 時々チェックしているはずなのに、、、。 やはりこの館では上映されていない様子。 
近くでは観られそうもありません。エマ・トンプソンも最近お目にかかっていないので 観たかったのですが仕方がありません。オンデマンドであつかってくれるといいのですが、、。 
原作を紹介してくださっているので Amazonを開きました。2段組み 600ページ!
旅行記書きで大変なのに読めるかしら?お値段も高いのです。
でも最近ちゃんとした本を読んでいないな、と勢いでワンクリックしてしまいました。 

ごく普通の夫婦がなんの組織にも属さず、手袋をはめ、筆跡を隠し、ひたすら反戦を訴える。そして職人夫妻の愛が素晴らしいのです。ベルリンの地図に葉書が置かれた場所を示す小さな旗を立て、路面電車の何線を利用しているかを絞り込む、有能な捜査官の内心の葛藤も描かれていました。
 市立図書館の資料が近くのコミュニケーションセンターで受け取れるようになって、便利になりました。検索したら原作本は順位1だったので、いまリクエストをかけています。ほんとにお高い本ですよね。
 もう一本、ナチスがらみの映画を予告していたんですが、怖そうで観る勇気がわくかどうか、自信がありません。「ハイドリヒを撃て!」のほかに、デジタル・リマスター版の「追走」も近日上映です。

移転してきたここ「サ高住」では土曜日が映画鑑賞の日になっていて見たい映画があったらリクエストしてくださいといわれたのですが、見逃した映画なんてタイトルを覚えていないので残念に思っています。新しいものはまだ見られませんし。シンドラーのリストを見ることができたのはどなたかがリクエストされたのでしょうが。

 下高井戸シネマは、三か月遅れぐらいで上映されるので、ときどき足を運んでいます。やはり大きなスクリーンで観たいし、音響もご近所に気兼ねしなくていいし。ただ、階段があるので、いつまで行けることやら。

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